【ハイエースを福祉車両に改造】
ハイエースの福祉車両はトヨタ純正の福祉車両「ウェルキャブ」として販売されています。
日本中のあちこちで見かけるハイエースの福祉車両で、皆さんが思っている以上に良いモデルです。
昇降リフト、車いす固定装置、電動ステップに手すり等の装備に加え、ハイルーフの恩恵もあって室内空間に圧迫感を感じない、利用される方にとって最適な福祉車両です。
ここで紹介したいのは純正の福祉車両ではなくハイエースを後から福祉車両に改造が出来る事、そして本当の利便性とは何か、趣味性の追求など個人的な論も含めてご紹介させていただきます。
福祉車両へのこだわり
ハイエースには標準ルーフ、ミドルルーフ、ハイルーフが存在します。
意見は人それぞれですが、やはり個人論も含めて画像の標準ルーフがデザイン的にもカッコイイと思ってしまいます。
では、この標準ルーフの福祉車両を購入したいと思ってもトヨタ純正の福祉車両「ウェルキャブ車いす仕様」にはハイルーフの設定のみで他のルーフ形状を選ぶことが出来ません。
そしてボディーカラーも車いす仕様の福祉車両ハイエースはラインナップが少ない事が惜しいところです。
なので「福祉車両に改造できるなら自分好みの車種を福祉車両に改造しましょう」ってお話なんです。
ハイエースのフロア改造
車いすに乗ったまま乗降できる福祉車両へと改造していきます。
当然ですが車検に対応した福祉車両改造です。
まずはフロア(床)から
純正のフロアは「もふもふ」の素材、まるで絨毯の様な肌触りです。
しかし、このフロアのままですと「車いす仕様の福祉車両」のフロアとしては不向きとなります。
それは、車いすのタイヤとフロアに摩擦抵抗が生まれてしまう事と「もふもふ」が故に車いすの操作が安定しない、そして車いすを固定した際に不安定になる為、新たなフロアを作る必要があります。
簡単に言ってしまうと床材の全てを「ぺろん」と剥がして新たなフロアを作っていきます。
このままフロアとして使えそうですが、車いすを利用、使用されている方にとって少しの凹凸も大きな抵抗となります。
この感覚は健常者の方が介護用車いすで構わないので、実際に車いすを操作して体験してもらう方が納得できるかと思います。
こちらが新たなフロアです。
レールが何本も敷かれていますが、凹凸はほとんどありません。
そしてこのレールには複数の意味があります。
車いす固定装置
脱着式の車いす固定装置を前側用、後側用と計4つを使って車椅子を固定します。
脱着式の利点は多く
・車いすを固定する場所が自由なので運転席や助手席の真後ろに固定したり、3列目や真ん中、景色が見やすい位置など自由な選択が可能
・多くの車いすの形状に適合する汎用性の高い固定装置
・車いすの形状が手動⇔電動、大きい⇔小さいタイプに変更しても影響を受けない
・緊急時の対応が容易
等の利点が利用者、使用者目線でとらえると最良なんです。
レールに直接はめ込む脱着式の車いす固定装置なので、固定位置の自由度を持たせるとレールの本数は増しますが、実は他の利点の為にレール本数を増やしています。
自由なシートレイアウト
車いすの固定位置の自由にプラスしてシート位置の自由も選択できます。
純正車いす仕様の福祉車両では「有り得ない自由」が上記の2点となります。
運転席側のスライドドアも使えるので、外見だけでは判断できない「自由度の高い」車いす移動車仕様の福祉車両となります。
シートは3席横並びにする事も可能です。
様々なシチュエーションに対応する利便性の高いシートとなっています。
車いす仕様の福祉車両として利用しないのであれば、シートをスライドさせて更に居住空間を広げる事も可能です。
また、このスペースに多くの荷物を積む事ができます。
自転車やオートバイを積み込んで出かける事が出来る「趣味性の高さ」もこの改造ならではの「醍醐味」です。
昇降乗降リフト
電動で昇降する「和光リフト(KEY)」を取付けて車いす仕様の福祉車両に改造しました。
画像に載っているように最大昇降能力は350kg。
現行のハイエース、ウェルキャブ車いす仕様の純正福祉車両に付いている昇降リフトは最大昇降能力250kgです。
純正福祉車両には昇降する本体部分(プラットホーム)に車いす固定装置が付いており、車いすを固定してから車いすに乗ったまま車内まで入る事が出来ます。
「和光リフト」にも純正福祉車両の様な装備が付いているタイプのリフトがありますので、使い方に合わせた選択が可能です。
昇降リフトを格納すると画像の様な配置となります。
格納時の高さが後部ガラスを遮らない高さなので視認性の確保、特に車庫入れ時等の後退(バック)をする際に邪魔にならない様になっています。
昇降リフトの開き方
縦方向に開くと画像のようになります。
この操作は手動になります。
このタイプのリフト最大の特徴とも言える横開き。
荷物を積み込む際に一般的なリフト車やスロープ車では面倒だった積み込みも、この「和光リフト(KEY)」ならお悩み解決になります。
この操作も手動となります。
ハイエース操作動画
リフトの操作動画を作りましたので宜しければご覧ください。
フロア加工編はこちらから。
介護仕様のハイエース
車椅子に乗ったまま乗車可能なリフトのハイエースと異なりますが、出てくる階段を取り付けて乗降車をサポートする介護仕様のハイエースを製作しました。
詳細はこちらから。
福祉車両の問題点
「福祉車両を作る」
正直、街の自動車屋さんや加工業の方でもその気になれば作れてしまうのではないかと思います。
ただ、誰の何の為に福祉車両を作るのかが非常に大事なんです。
付くか付かないかの問題ではなく、人の命を乗せる車を「福祉車両」として作る訳ですから根本的な「やる理由」「やる意味」そして「責任」が必要不可欠です。
以前こんな依頼がありました。
「福祉車両にすれば税金がかからなくなるから福祉車両として改造し登録をしてほしい」と。
ご自身や身内の方に福祉車両を必要とされるお体の方がおらず、ただ税金対策目的との事なので丁重にお断りしました。
思い知った事が、世の中には福祉車両を税金対策の手段として見ている人がいるのだと。
何とも言い難いのですが…
福祉車両を必要とされている方は千差万別ですが、健常者が税金対策で福祉車両を必要とするなんて、おかしな話だと思います。
今はネットの情報が潤っており、知りたい事が即座に知れる良い時代です。
8ナンバーになる福祉車両の定義、福祉車両の優遇制度、非課税制度等、調べれば知れる事です。
伝えたい事は「福祉車両とは福祉車両を必要とされる体の方の為に存在している」事。
誰の為に福祉車両が存在しているのか、それは「本当に必要とされる方」です。
私共は「本当に必要とされる方」の為に最良の提案をさせていただきます。
福祉車両のお店を「やっている理由」が少しでもこの文面を通じて誰かの心に届くと幸いです。
時代は「改造してくれる店」よりも「相談できる店」を求めています。
まずはご相談から、心よりお待ちしております。