【福祉車両の悩み】
福祉車両への改造は装置を取り付けてから「車のある生活」が始まります。
特に大きな変化のある「自操式手動運転装置」を取り付けた後の生活は、自らが車に乗り、ハンドルと運転装置を握り、目的とする場所へ向かう事ができるようになる事が最も「車のある生活」に変化をもたらします。
しかしながら、手動運転装置や運転補助装置を必要とされる方は、気候や時期によっていつもの様に体が動かなくなったり、年齢の増加と反比例して低下する体力の問題があり、今までできていた事が突然できなくなってしまう事があります。
今回は、今まで乗り降りできていた車に乗れなくなったから、乗れるように車をちょこっと改造して今までと同様の「車のある生活」に戻す事例をご紹介します。
BMWの福祉車両改造
ざっくり説明するとBMWのスポーツモデルE92クーペを車いすから移乗しやすくなるように改造しました。
今までは何も不自由なく移乗できていた愛車ですが、体の変化により移乗が困難となった為、移乗を補助する装置を取り付けました。
好きな車、今まで大事にしてきた車だからこそ今後も乗りたい熱い思いを私共は具体化します。
移乗の補助
車の外からシートまでの距離が長い分、車いすからシートへの移乗が困難になってしまい「乗る」行為自体で疲労困憊になってしまう事があります。
シートまでの距離を極力少なくして、車への移乗の負担軽減につながる「サポートシート」を実際に使う人に合わせて作製しました。
乗り降りの癖や方法は人それぞれなので、その点を見極めないと「付けたけど使えない装置」になってしまいます。
そして車いすユーザーにとっては移乗した後、ドアを閉める前にやらなければならない事があります。
車いすの積み下ろし
車いすから移乗した後、次は車いすを車に入れる工程です。
車いすの積み込みは正直「慣れ」もありますが、意外にも移乗を補助するサポートシートが邪魔になってしまい、思った以上に車いすの積み込みが困難になってしまう事があります。
移乗をサポートするシートは上方向か下方向に「パタン」となるタイプや、剛性が高く少し重たいシート自体を脱着して、使う時だけはめ込むタイプが存在しています。
脱着するタイプですと使う時以外はどこに置くのが良いのか?
重たくてちょっと大変…そもそも外すのが面倒…
その意見を聞いてしまうと「パタン」タイプの勝利かと思ってしまいますが、この「パタン」が車いす積み込みの際に壁になってしまう事があります。
サポートシートを展開して移乗→車いすを入れ込む→出し入れし易い位置に車いすを置く→サポートシートをたたむ→ドアを閉める。
この工程の中で車いすを入れようとした時に意図せず「パタン」となってしまい、思ったように車いすが積み込めない事があります。
そんな不便もちょっと工夫して改善します。
装置の便利機能
車いすの積み込み時にサポートシートが邪魔にならない工夫として、車内の使わない見えない部分のデッドスペースを活用して、脱着する事なく開口スペースを確保しています。
これにより「パタン」の壁が無くなるのでスムーズに車いすの積み込みが可能となります。
一応、脱着もできるように作製させていただいてます。
この自由度は今後体に変化があってさらに移乗が困難になり、サポートシートの形状や位置を変えたいとなった際に容易に変える事ができるようにしています。
それは「車のある生活」を少しでも妨げないようにする為、私共が取り組んでいる事です。
車のある生活
体に不自由があっても車が好きな方は沢山います。
そして、車がないと地域的に生活が難しい方も沢山おられます。
車とは実用性、趣味性など人それぞれ価値観は違いますが、必要とされる方にとっては唯一の存在と言っても過言ではありません。
車があるからこそできる事、車があったから得られた事、人それぞれの想いが「車のある生活」から生まれています。
私共は使う人に合わせて装置の提案、そして改造を行っています。
それは「車のある生活」を心から満喫していただきたい想いがあるからです。
些細なことでも構いません。先ずはご相談から、心よりお待ちしています。
さいたま市の福祉車両助成制度
各市町村で違いはありますが、特定の条件を満たす事で福祉車両への改造費を助成する制度があります。
さいたま市の助成制度はこちらから。