【車いすで乗る福祉車両】
車いすに乗ったまま車に乗れる福祉車両にはリフトタイプ、スロープタイプなどが存在しています。
どちらのタイプも各自動車メーカーが純正福祉車両として販売しており、様々な車種から選択が可能です。
また福祉車両への後付け改造においても、リフトもしくはスロープなどの選択肢があり、様々な車両を福祉車両に改造する事が可能です。
先ずは、車いすで乗れる福祉車両のメリット、デメリットについて触れてみたいと思います。
目次
福祉車両のメリット
日本の文化ともいえる自動車メーカーによるメーカー純正福祉車両には選ばれている様々なメリットがあります。
具体的に
・国産純正による丈夫さ
・高い実用性
・普通車、軽自動車と多彩なラインナップ
・手すりなど細かい部分にも福祉的
・故障時に各ディーラーが対応可能
などがあり実用性の部分を深堀すると、純正福祉車両のスロープタイプには後ろの車高がスロープ使用時に下がる車種があり、スロープの傾斜がなだらかになって車いすでの乗り降りが容易となるタイプがあります。
また、車内からベルトで引っ張るウインチが付いているタイプもあり、より車いすでの車の乗り降りが容易になります。
純正福祉車両の乗降スペースは後ろの開口部(リアゲート)が開く分のスペースに、車いすと介助者の分の幅が十分に確保できれば乗降車が可能です。
リフトの純正福祉車両のほとんどは、車いすでリフトのプラットホームに乗ったらリモコンで操作を行い、車内へ全自動で格納されます。
このタイプもスロープ車と同様の乗降スペースが必要となります。
車いすでの乗車人数はスロープタイプで1~2名、リフトのタイプでは1~4名が乗れる車種・グレードが存在しているので、家族構成と車いすが必要な方に合わせて車を選べる事も純正福祉車両のメリットとも言えます。
また、福祉車両は新車・中古車問わず障害者手帳や療育手帳が無くても、どなたでも購入できる身近な自動車です。
福祉車両のデメリット
そんな身近な福祉車両ですが個人差はありますがデメリットとなる部分もあります。
具体的に
・決まった車種にしか福祉車両が設定されていない
・車いすの固定は決まった位置のみ
・故障箇所によっては高額になる修理費用
・スライドドアが片側のみ
・エアロパーツなどのカスタムができない
・選べる車体色が少ない
など、人によってはデメリットに感じないかもしれませんが車内環境と外装品等、車種・グレードの選択肢が少なることがメーカー純正の福祉車両となります。
特にスロープの傾斜が緩やかになる車高が下がるスロープの福祉車両においては輪止めや縁石に注意して駐車しないと、車高が下がった際に車高の上下をさせる本体部分を損傷し、高額な修理となる場合もあります。
どの福祉装置にも言えますが、メーカーが指定する方法や取扱説明書に書かれていない、「独自の方法」で操作を行うと福祉装置とて機械物ですから必然的に壊れてしまいます。
操作を正しく行う事で大きな損傷は避けられますが、それでもリフトやスロープが動かなくなる事もあります。
その際は車両取扱説明書をお読みください。
一般的な故障の緊急回避方法等が掲載されています。
その後、たとえ動いたとしても故障箇所の再発防止の観点からディーラーや販売店、修理店などに点検整備を依頼して下さい。
福祉車両に改造するメリット
国内外問わず乗りたい車、乗っている車に福祉装置を取り付けて福祉車両に改造する傾向が、今や当たり前の文化になってきています。
福祉車両に改造するメリットは
・選んだ車、乗りたい車、乗り慣れた車が福祉車両になる
・家族構成に合わせて乗車定員が増減できる
・車いすの固定や介助席の自由度が高まる
・カスタマイズが可能
・福祉車両感が無くなる
・唯一無二など
メーカーが販売している福祉車両に比べて選択肢が幅広い事が特徴であり、余裕のある耐荷重により重量級電動車いすでの乗降車が純正福祉車両では困難だった事も可能となります。
車の一番後ろにしか車いすを固定できないなんて悩みも、車いす専用のフロアを設ける事で固定場所の自由度も高まります。
また、その位置までの稼働線も車いす用とする事で楽に介助が可能となります。
介助を必要とする方、される方に最良のカスタマイズができる事こそ福祉車両に改造する、「最大のメリット」であり多くの方々に選ばれている理由でもあります。
福祉車両改造のデメリット
まるで優等生な福祉車両への改造ですが実際デメリットも存在します。
・高額な費用(特に海外製)
・相談内容が薄いと使えない装置が付いてしまう
・改造内容によって時間がかかる
・車検に適合しない改造をされてしまう
などがあります。特に2番目はもはや問題外ですが、相談ができる改造店でないとスロープもしくは、リフトを取り付けたものの車内の高さが足りず、車いすでの乗車ができない事案も起きてしまいます。
またユーザーからの声で高額な海外製のスロープを付けたものの、自宅駐車場でスロープを展開する事が出来ないばかりか、学校や病院はたまたよく行くショッピングモールでスロープを展開する約3メートルのスペースが無く、期待と費用に合わない残念な結果になってしまったなんて事も。
正直これに関しては装置が使う人に合っているかの確認と提案が出来るか否かで防止できます。
BRAVE BOARでは日本の国土に合った国産リフトの、「費用面」「耐久性」「実用性」のハットトリックとなるリフトを推奨しています。
リフトの福祉車両に改造
福祉車両への改造を行うブレイブボアでは、乗りたい車に車いす用のリフトを後付けしてリフトの福祉車両に改造する事が可能です。
また、今乗られているお車を車いすリフトの福祉車両に後から改造する事も可能です。
様々な車種に後付け改造が可能で、日本での使い勝手に合ったリフト、「WAKOリフト」&「ムービングリフター・ライラック」をご紹介します。
WAKOリフト
汎用性が高い「WAKOリフト」は様々な車種に後付け改造ができ、特にリフトの格納状態から横開きして荷物の出し入れや、後ろから車いすへのアクセスが良好となるKEYタイプを推奨しています。
昇降は電動にて行い、格納は手動の半自動タイプで車体の大きさや車いすのサイズに合わせてリフトのサイズ変更が可能です。
このタイプの昇降能力は350kgまで対応しているので、純正福祉車両では困難であった重量級電動車いすも許容範囲となります。
ハイエースやキャラバン、VOXYやセレナなどのミニバン、タウンエース等にも後付け改造が可能です。
車いすの固定や稼働が自由になる様、リフトから固定位置まで車いすの専用フロアとしています。
2列目の純正シートを残して3列目のみの改造も可能です。
フラットなフロア加工で前後での車いすの固定も可能となります。
ライラック
WAKOリフト同様に高い汎用性のある「ライラック・ムービングリフター」
昇降は電動、格納は手動の半自動タイプのリフトとなります。
車いす専用のフロア、専用固定具も備わります。
ワンボックスやミニバン、メルセデス・ベンツ等の輸入車にも後付け改造が可能です。
この二つの国産リフトは耐久面やメンテナンス製に優れており、福祉装置ながらも国産リフトの為、取付や修理時における費用を抑える事が出来ます。
詳細、関連記事はこちらから
福祉車両と改造の助成措置
日本では国や地方自治体による助成措置があり、税金関係の減免や貸付制度などがあります。
まずは福祉車両における国税、すなわち消費税について触れていきます。
消費税
この記事のテーマでもある「車いすで乗る福祉車両」はリフト、スロープ問わず非課税となります。
厚生省の告示で、厚生労働大臣が指定する身体障害者用物品の規定に該当する装置を備えた自動車を取得(購入)する場合は非課税になるとあり、今までの内容にあった福祉車両は非課税対象となります。
規定に該当する装置とは、車いす等を車両に乗せる為の昇降装置と、その車いす等を固定する為に必要な装置を装備した車両であり、車いす利用者が車で移動できるようにスロープやリフトの車いすで乗れる装置と車いす固定装置が備わっている事で非課税となります。
この規定により、新車・中古車問わず該当する福祉車両は非課税となりますが、深掘りすると福祉車両ではない新車・中古車を福祉車両に改造する場合も非課税の対象となりますが、福祉車両に改造する明確な理由がない場合、また車両の購入の仕方や手順で課税となる場合があります。
自動車購入資金の貸付
お身体が不自由な方が生業または通勤、通学、通院など日常生活における便宜や社会参加のために、必要な自動車を購入する際、資金の貸付を行います。
各都道府県、市区町村で異なりますので、管轄する地域の社会福祉協議会へご確認をお願いします。
自動車改造費用の助成
障害の条件や助成額は各自治体によって異なりますが、障がい者用の自動車に改造する際に助成が受けられます。
詳細は管轄する市町村の福祉相談窓口へご確認をお願いします。
さいたま市の助成制度
さいたま市の福祉車両における優遇制度や消費税の関連記事はこちらから
福祉車両・改造福祉車両の存在理由
メーカー純正の福祉車両、改造した福祉車両共に福祉車両とは、その自動車を必要とされている方が必要とする福祉装置を備えた自動車を指します。
また福祉車両は新車、中古車、改造車問わず、取り付けられた福祉装置がその装置を必要とされる方に合ったものでないと、乗降車に限らず介護や介助が困難となり、云わば福祉装置が付いているだけの自動車となってしまいます。
福祉車両は一定の基準を満たすことで非課税になるが故に、福祉装置を必要としない方が福祉車両を購入する、砂漠に咲いたオアシスの如く希少性のある福祉車両を営利目的で買い占めて高値で販売する等、本来の福祉車両の存在理由を勘違いしている方が多く、その弊害として福祉車両を本当に必要としている身体が不自由な本人、その家族に適正な価格で提供されない事態が起きています。
福祉車両への改造業者も同様に福祉装置の賃上げが凄まじく、欲しくても高額すぎて手が出ない、障がい者から資金を巻き上げようとしていると多くの方から相談をいただきます。
これは自動車業界の悪しき風習が福祉車両にも蔓延している兆しとも感じています。
人間は間違える事がありますが、考えたり、調べたり、聞くことが出来ます。
そして正しき選択となる様、些細な事でも相談ができる人に私共も入れて下さい。
お待ちしております。